かぐや姫の物語


姫の犯した罪と罰
なぜ、今になって誰もが知っているこの物語を選んだのか…。
現代社会を真正面からストレートに皮肉った。そのままだった…。


姫、などではない。
これは、お前の犯した罪と罰だ。


ようやく手にした我が子はどれだけ甘やかせば気がすむのか。

親たちよ、お前のエゴか。

塾にピアノにとお稽古漬けにする親。

子どもの成長に目を向けず仕事に出る親。

そんなに立派な箱が欲しいのか。

身の丈に合わない服をまとい、狸のような化粧をし、外面ばかり気にし、真を判断できない親。

子育て、躾は学校に任せたつもりの親。

暴れる子どもは手に負えないと見放す教師。

可愛い可愛いと自由に育てられ、身体ばっかり大人になって中身の無い娘。

自分の思いどおりにならず暴れる娘。

時代の流行に流される女。

男たちを天秤にかけ、バッグや時計を貢がせる。

自らの命を投げ入れるまで女にのめり込む男たち。

我が娘を平気で買春させる親。

力づくでも女を自分のものにしようとする男。

女よ、犯される理由がお前にないか振り返れ。




現実逃避か?

プランターでハーブを育てたくらいでロハスな生活してると思うなよ。

お前の生活全体を振り返れ。

猫の額ほどのお前の庭で本当の森は語れないのだ。

お前のやっているのことは、ただの真似事でしかない。




こんな筈ではなかったと、過去に遡ってもそこには何も無いのだよ。

お前のやってきた事など、表面だけの、薄っぺらぺらの、何にも無い草っ原。

そうして感情のままに過去の男と性交する。

欲しくもない子を産むことになるだろう。

そして不要なわが子は、何の痛みも感情もなく、またトイレに捨てるのだ。




そうして歴史は繰り返す。

月から迎えに来てくれる?

お前を迎えにきたのは法の裁きだ。

こんな子に育てたつもりは無かったと、迎えがきてから気付くのだ。

だが、お前がこの子を育てたのだ。

裁かれる時がくるまでわからない。気付けないのだ。




むかしむかし、お前が生まれたその瞬間、お前の心は真っ新で、たった一つの陰も無く、無垢なまま、お前はタケノコのようにこの地にひょっこり頭を出した。

いつからかお前は社会に流され、欲望の塊になったのだ。

お前は求めてばかりだ。

貰ってばっかりだ。

なんてつまらないものだろう。

お前の持っているものは全て隣の奴も持っている。

自分を持たず、皆と同じお前がここにいる。



かぐや姫の物語

野山や自然の植物の描写が、あまりに美しすぎて、悲しい。

自然界が美しすぎて、人のこの世の汚さが一層に際立つ。

誰もが知っている物語。

どんなに伝えようとしていても、伝わらない人間には伝わらない。




この映画の中になぜ“眉毛は汗が目に入るのを防ぐ為の大切な役割”という台詞があるのか。

なぜ“10年経てば森が戻る”という台詞があるのか。

こんなに簡単な物語を使っても、伝わらないものには伝わらないのだ。




どの感想を見ても皆同じ。

罪も罰も解らない。愚かなものだ。

残念だけど、伝わらない。

それが今の社会だ。



かぐや姫の物語」2013.11.28 四季風
http://d.hatena.ne.jp/shikicaze/20131128