生命

ガラス窓の内側に 迷い込んだヒメウラナミジャノメ
出口などないのに 外側のヒカリの中に飛び込みたい
傷つけないように そっと掌におさめたい
できるのなら 
そっと掴んだはずの わたしの指先は
片方の羽だけ
わたしの指を 振りはらわないで おとなしくして
そんなにあばれたら 羽が千切れてしまうのよ
開けた窓に ヒカリの中に 舞い上がる
わたしの指先に 彼女の 力強い生命の感触が残った